―――― 闇たちの戦い



ここはエキセン城。
今日も愉快な闇たちが、何やら騒ぎを起こしているぞ。


R「皆のもの、今日は何の日か覚えているでアールか?」


支配者こと『R』が少し高い位置から、全部の闇を見渡している。
全部の闇が今日という日を覚えていたようで不敵に口元をゆがめている。
その中には元気よく挙手する姿もあった。


N「はーい!おいらはこの日が楽しみでずっと眠れなかったんだい!」

V「はあ?お前バッカじゃねーの?こんなくだらねえことで夜を無駄に過ごすんじゃねーヨ」

R「これこれ、喧嘩はやめるでアール」

H「んふ。それで、この『ゲーム』とやらはいつ始まるのかしら?」


いつまでたっても身と心が子どものままである『N』と『V』であるが明らかに『V』の方が大人染みている。
赤ん坊に注意を受ける餓鬼を見て『R』がため息をついている時、オカマの『H』が醜い声をこの場に流した。
続いてキモイ声も流れる。


U「クスクス。我は人形の手入れをしたいのだが、これはいつ終わるのだぞよ?」

R「終わるのかって、まだ始まってもいないのにそれはないでアール…」

L「まあまあ、気を落とさずに。今日はOも来てるんだし楽しもうじゃないか」


自分の趣味に突っ走りたい『U』は、今の時間ももったいないと遠まわしに言っている。
キモイ声に押しつぶされて『R』が気を落とす。
それを見てすぐに『L』が明るく笑って場の雰囲気を和ませた。
『L』の言うとおり、彼の後ろには、昔からこの城に余程のことがないと戻ってこない『O』が立っている。
『O』は大好きなプリンをプルプル震わせるのに夢中だぞ。


B「震わせてないでとっとと食べなさいっ!」

O「うっ…」

J「ジェーイ!頭殴られて痛そうだジェーイ!」

B「あんたも黙ってなさいっ!」

J「ジェっ…」


騒ぐ『J』を腹を殴ることで仕留めた『B』は手を払って威圧を撒き散らした。
そして闇たちは、『B』を敵に回したらお終いだ。と思い息を呑んだ。

『B』の威圧のおかげで静まり返った城の中。
ここで『R』がようやくこれからおこなわれるゲームについて説明した。


R「本日はマスターとPの希望により、このゲームが行われることになったでアール」


今回、ここに闇たちが集まった理由は、闇を生んだ『E』と『P』の希望が原因のようだ。
『E』と『P』は部屋の片隅で闇たちを見守っている。
二人はとても優しい笑みを零していた。


R「棄権するものは今のうちに申告するでアール」


ゲームが今から始まる。そのため全員が身を引き締めた。やる気なのである。
しかし、その中でも華麗に手を上げる者が現れた。


X「わたくしはこのような乱暴なゲームには参加したくないわ。だから今回は棄権するザマス」

R「おお、そうでアールか。Xは棄権でアールな」


ゴージャスなセンスをヒラヒラ扇いでいる『X』は確かにこのゲームには不向きなタイプである。
そういうことで『R』は手を打ってその場にレポート用紙を取り出すと、『X』の名前を棄権者リストに書き加えた。

次に『R』は他に棄権者はいないでアールか?と訪ね、しかし既にある人物に目線を移していた。
そこには、『Y』がおどおどと挙動不審な動きをして手を挙げている姿があった。


Y「あ、あの…その……えっと……うちは…人を傷つけるゲーム…って…嫌い…あ、いや…何でもないです………」

R「いや、はっきり言ってもらわないと困るでアール」

L「チャーリー、Yちゃんがビクついてるだろ?女心ぐらい見抜けよ」


『R』に鋭く突っ込まれて『Y』が身を縮めたところを見て、『L』が仲裁に入った。
脅すようなことはしていないでアールが、と思いつつも『R』は素直に『L』の言葉を聞き入れて、反省する。
そして棄権者リストに『Y』の名前も付け足した。

次は『R』自ら指名する。


R「Wも今回は棄権したほうがいいでアール」

W「そうですか?スミマセン…コホンコホン…」

R「また風邪を引いたでアールか?」

W「昨日風邪が治ったばかりだったのに、また引いてしまいましたスミマセン…コホコホ…」


弱弱しく咳き込む『W』は細長い体を屈して何度も息をついた。
この様子からしても絶対にゲームに参加できないだろうということで『R』は早速、棄権者リストに彼の名前を追加する。
続いて残り2名も指名した。


R「DとFも絶対に無理だと思うでアール」

D「ブー」

F「あは、あはあは」


そして『F』は、なめていたペロペロキャンディを『R』に渡した。


R「いや、いらないでアールよ?!」

F「あは?あはあはあは」


よだれのついた汚らしいキャンディから避けて『R』は二人の名前も記入した。
そして、闇を見渡して、ゲームに不利な闇を探す。
誰も手を上げない上に、他は戦える闇たちが残っているということで、ここで『R』は棄権者の枠を締め切った。

パンパンと手を打って、『R』がその場にホイッスルを取り出す。


R「では、これよりゲームを開始するでアール」


宣言が場に広がった途端、部屋の様子がガラッと変わった。
大きく歪んだ部屋を見て、『J』が酔いそうになっているが『L』が背中をさすることで彼を和ます。
闇に包まれていただけで何も無かった部屋が、見る見るうちにコートになっていく。


R「今回は、AGHKLOQVとBCIJMNSUの2チームに分かれて戦ってもらうでアール」


ゲームに参加する18の闇たちが二つのチーム分かれて、それぞれの陣地に足を踏み入れる。
広くも無く、むしろ狭い地。この中に8つの影が納まる。
互いのチームの代表が外野に回ることによって、7つの影と1つの影に相手のチームを挟む形になる。


R「これより、ドッジボールを開催するでアール」


手を打ってボールを取り出すと『R』は手元のホイッスルを鳴らして、二つのチームを分けている線の上空にボールを浮かした。
早い者勝ちだということで、すぐに『L』がボールをとりに走る。しかし貪欲の『G』も取りに走っていた。
同じものを狙っているため目的地は同じ。よって頭をぶつけ合い、彼らはボールを手に入れる前に倒れる結果に終わった。
その間に頭をぶつけ合った二人の相手チームに属する『J』が転がってきたボールを慌てて手に入れる。


これより、エキセントリック一族のドッジボールが始まる。




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何か馬鹿なことを始めてしまいました。
これからのんびりと他のものに手をつけながら気楽に更新していきます。
よろしくお願いします。

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