見る限り、見る限り、道は分岐されている。非常に複雑な道だ。


8.複雑な道


枝分かれの酷い道を、2頭の豚がのんびりと歩く。
前回手に入れてしまった緑色の豚は、食べてしまうのも可哀想だし何だかメンバーのことを気に入っているみたいだったので桃色の豚のエリザベスと一緒に車を運ぶ担当に回された。

2頭の豚に曳かれている車の中はやはり非常に騒がしかった。


クモマ 「楽しかったね。ギャンブル」

トーフ 「あぁ。ワイも初めてやったけどおもろかったな〜」

チョコ 「ってか、トーフちゃんってちょっとあくどいよね〜」

トーフ 「そか?」

ソング 「全くだな。食い逃げしたり万引きしたり、挙句の果てにはイカサマかお前は…」

トーフ 「ババ抜きで簡単に負けたあんたに言われたかないで」

ソング 「………」


落ち込むソング。
そんな彼のことは放って置いて話を進める。


サコツ 「ところでよ〜、どうも気に喰わないところがあるんだけどよ〜」


サコツはそう言って、喚きだした。


サコツ 「何でエリザベスの隣りにあのカビ色の豚がいるんだよ〜」

クモマ 「カビ色って…」

チョコ 「いいじゃないの〜。あの豚さん私らのこと相当気に入ったみたいなんだもん。その上食べるのも可哀想だし、あぁ使うのが一番じゃない?」

サコツ 「だけど…はぁ…エリザベス…」

ソング 「お前ウザ…」

サコツ 「ババ抜きで簡単に負けたお前に言われたくねーよ」

ソング 「………」


落ち込むソング。
サコツはまだ喚き続ける。


サコツ 「何で田吾作なんかと一緒にいるんだエリザベス…」

クモマ 「…え?ちょっと待って!今何て言った?」

ブチョウ「モーリン」

ソング 「誰だよ?!ってかお前に聞いてなかっただろ?!」

ブチョウ「あんたは引っ込んでなさいよ」

ソング 「つくづく思うんだが、俺って結構酷い扱われようじゃねーか?」


そ〜ですね〜。


チョコ 「田吾作ってサコツ…あの緑色の豚のこと言ってるの?」

サコツ 「あぁ。緑色だから田吾作だ」

ソング 「根拠がよくわからねえな…」

サコツ 「お前がババ抜きで負ける、その根拠もよくわからねーな」

ソング 「………」


落ち込むソング。


クモマ 「エリザベスに続いて田吾作かぁ〜。全く次元が違う名前だよね」

トーフ 「ま、ええやないか。非常食の名前なんかそんな感じでええわ」

チョコ 「そうだね〜…ってちょっと待ってよ!今禁句言ったね!禁句!」

ブチョウ「非常のときじゃなくて常日頃から食べたいわね」

チョコ 「だからそこ禁句!食べるとか言っちゃダメよ!」

クモマ 「そうだよ!食べちゃったらこの車を曳いてくれるのがいなくなっちゃうじゃない!」

ソング 「そういう問題なのか?おい」

トーフ 「まぁ、田吾作は今日からワイらの仲間や。一緒に旅をする仲間でええやないか。非常食じゃなくてさ」

クモマ (トーフが最初に非常食って言ったクセに…)

チョコ 「そうよ。だから諦めなってサコツ。きっと田吾作もエリザベスと仲良くしてくれるって」

サコツ 「それがダメなんだってよ!エリザベスは俺のものだ!エリザベス!エル〜オー〜ブイ〜イー〜エリザベス!ラブ―!」

ソング 「誰かこいつを止めてくれ」

ブチョウ「モンブランのタコ踊り!」


ブチョウ、サコツにモンブランのタコ踊り攻撃!
サコツ1000のダメージ(税込み)
痛恨の一撃だ!


サコツ 「グエっハ〜!!」

ブチョウ「ふっふっふ。さすが私」

ソング 「さすがお前、意味わからね―よ」

クモマ 「すごい…あれが噂のモンブランのタコ踊り…」

ソング 「どこで噂になってたんだよ?!」

チョコ 「うっとりしちゃうね…」

ソング 「うっとりするな?!」

ブチョウ「ぽっくりしちゃうわね」

ソング 「勝手に死んどれ!!」

トーフ (ソングってツッコミするとパワー回復するんやなー…)

クモマ 「ところで話題変わるんだけどさー」


そこでクモマが切り替えた。


クモマ 「一体、僕たちって何処に向かっているの?」

トーフ 「そりゃー"笑い"がなくなりつつある村やねん」

クモマ 「…もし、村に辿り付けなかったらどうするの?」

トーフ 「村に辿り着けなかったらって…イキナリ何を言い出すんねん?」

クモマ 「…さっき外を見てみたんだけど…」


冷汗掻きながら、クモマは言い切った。


クモマ 「道がハンパなく分かれているんだけど」

みんな 「「え?」」


クモマに言われ、全員が外を見るため、のぞき窓に近づく。
狭い場所に一気に人が集ったため、車の重心が乱れるが
そんな状況の中でも何とか外を見ることができた。


そして、見て、分かった。



チョコ 「…ちょっと待ってよ…、これ迷路?」

サコツ 「迷路にしちゃあちょっと枝分かれしすぎだぜ?」

ブチョウ「まるで屍のようね」

ソング 「使い場所間違っているぞお前」

トーフ 「……あかんわ…道が複雑すぎるで」

チョコ 「エリザベス〜」


車の中から大声を出して、外にいる豚らに語る。


チョコ 「道分かる?村にいけそう?」


エリザベスの声だろうか、豚の鳴き声が微かに聞こえてきた。
それに応答するチョコ。


チョコ 「マジで?」

トーフ 「どないしたん?」

チョコ 「道に迷ってるよ、エリザベスたち…」


みんな 「「…待て」」

クモマ 「道に迷ってたらダメじゃんか!」

サコツ 「田吾作のせいかこのやろう!」

ソング 「お前そんなに田吾作のこと嫌いかよ」

ブチョウ「どうする気よ?タマ」

トーフ 「…困ったなぁ。ワイもこの辺は地図がないと全く道がわからへんで」

クモマ 「誰か知っている人いないの?」

ブチョウ「仕方ないわね。私がクマさんを召喚するわ」

みんな 「「やめてください」」

ソング 「ってか、お前さっき何て言ったか?」

ブチョウ「目ん玉グルリ」

ソング 「言ってなかっただろ?!目ん玉グルリって意味わかんね―よ!」

チョコ 「ちょっと待ってよ!姐御って召喚魔法使えるの?」

ブチョウ「そうよ。私は召喚魔法の使い手よ。カッコいいでしょう。えっへん」

クモマ 「すごいすごい!召喚魔法とかカッコいいよ!」

チョコ 「かっこいー!姐御〜!!」

トーフ 「って、そなのん気にしとる場合じゃないであんたら!今ワイらは道に迷ってしまってるんやで!」

サコツ 「そこのところは大丈夫だぜ」

みんな 「「え?」」

サコツ 「俺はこの辺の道は分かるぜ」

トーフ 「ホンマかいな?!」

サコツ 「んだんだ。前に言っただろ。俺は他所の村の出身だって。俺もあちこち移住してたからよー。結構道知ってるぜ」

クモマ 「本当?よかったー」

ブチョウ「助かったわね」

トーフ 「ほな、誘導してくれや」

サコツ 「おうよ!」


そして、サコツが道を誘導をし、チョコがそれをエリザベスらに伝え、道を歩いていく。

が、そこで、思い出した。



ソング 「そういえば、こいつ。…方向音痴じゃなかったか?」

みんな 「「………ハッ!!」」


サコツ 「次は確か右だったような気がするぜ!」

チョコ 「エリザベス〜次は右に曲がって〜…ん?何?…え?一方に村の気配を感じないって?可笑しいねー?」

トーフ 「やっぱりか…」

クモマ 「余計道に迷っちゃってない?」

サコツ 「次をダイナミックに左に曲がってくれー」

ソング 「待て!お前やめろ!誘導するな!一生道に迷いっぱなしになる」

ブチョウ「人生、道に迷うぐらいが丁度いいのよ」

ソング 「よくね―よ!!」


トーフ 「……仕方ないわ……微かに感じる"笑い"を探知して、それを辿っていくしかないようやな」

クモマ 「あ〜なるほど!"笑い"が多く感じる方向に行くんだね?」

トーフ 「いや、その逆やねん。"笑い"が少なくなっている方の道を行くんや。そしたら自然に村につけるはずやで」

チョコ 「…あ、そっか。"笑い"が少ないイコール"ハナ"がある村ってことになるもんね〜」

トーフ 「そや。ほな、今から黙っててくれや。"笑い"を見極めるから……」

クモマ 「分かった」


全員を黙らせて、トーフは"笑い"を見極め出す。
微かに感じる"笑い"を探知したトーフの第一声はこちら。


トーフ 「……大きく回れ右をして、戻ってくれや」

みんな 「「引き返しちゃうんだ?!」」




こうして、トーフの"笑い"を見極める力に頼りながら、道を歩いていく。
非常に複雑な道。
トーフも誘導するのが大変のようだ。
しかし、頑張ってほしいところ…。

それから暫く経って
やっとどこかの村の門が見えてきた。

やっと村だー!と騒ぎ立てるメンバー。

車の中にいて気づかなかったが、外はもう夜のようだった。
暗い道の中、車は無事、村の中に入ることが出来た。


みんな 「「やっとついた〜……」」


あまりにも長い、道との戦いだったため、
村についたと同時にメンバーは一気に疲れに覆われた。
エリザベスらも長時間歩き続けて疲れたのだろう、ペタンと地面に張り付き、そのまま寝息を立てている。

メンバーも、眠かったため、今日はもう寝ることにした。


ここは、一体どんな村なのだろうか。

気になるところだが、周りは暗いし、もう疲れた。

のんびりと寝ていよう。


そして、車の中からは寝息しか聞こえてこなくなった。





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