舞台に並ぶ6人の連勝者と6人の挑戦者。
それらに挟まれたキンキンの服のおじさんがルールの説明をする。


『勝〜ち抜き〜勝負っと言っても12人全員で一斉にバト〜ルしてもらいま〜すよ〜』

「あ、そうなんだ」

「それなら早く言えよ」


てっきり1対1で戦うのかと思っていたため、
ルールを聞き、メンバーは安堵を浮かべた表情を作った。


『まず〜は最初に12人で一斉に〜ゲームをして〜そこで負けた人は即失〜格で〜す。勝ち残った人だけが次のゲ〜ムに進み〜…の繰り返しで〜すよ〜」


ゲームごとに次々と人数が減る。
いわゆる、バトルロワイアル形式らしい。


『そ〜し〜て〜最後のゲーム…5戦まで〜あ〜りますね。そ〜れまでに人数が〜多く残ってい〜たチームが〜優勝〜!賞品をゲ〜ットするこ〜とができ〜ます』


それを聞き、目を真剣にさせるメンバー。
最後のゲームまでにとにかく生き残らなければならない。
一人すでに諦めている人もいるのだが。

対し、相手チームのTHE☆鼻水のメンバーは全員自信に満ちた表情をしている。
相当ゲームに勝つ自信があるのだろうか。


「みんな、負けるんじゃないで」


トーフがコソっと小声でメンバーに声をかける。
メンバーは黙って頷く。
声は彼らにしか聞こえなかったらしく、THE☆鼻水は平然とした顔をしている。


『さ〜早速12人の〜一斉バト〜ルを開始し〜たいと思いま〜す!』


おじさんがそう言い切ると、突然舞台の端から煙が上がった。
煙によって舞台は隠れ、観客からは何が起こっているのか分からない。
メンバーは辺りが煙に覆われてワーワーと慌てる。
THE☆鼻水は冷静だ。

やがて、煙は薄くなっていき、舞台の姿がまた現れた。
メンバーも辺りの煙がなくなっていくことに、安心する。
その中でおじさんの声が響いた。


『第〜1戦は〜…カ〜ドゲ〜ム「ババ抜き」で〜す』


それを聞き、メンバーが一気に頭を抱え込んだ。

もうダメだ。うちから一人脱落する。



「ババ抜きか…みんな頑張れよ」


無表情でソングが全員に告げる。

てめ〜が頑張れよ。てめ〜が。



『さ〜皆さ〜ん、中央〜のテ〜ブルに腰〜をかけ〜てください〜』


おじさんに言われて、気づいた。
煙のせいで見えなかったのだが、舞台の上には
丸い大きなテーブルをはじめ、スロットゲームなど、様々なゲームが設置されていた。
あの煙の中でこれらを設置したのだろう。

中央のテーブルに迎い、メンバーはテーブルと一緒に設置されていた椅子に座る。
ブチョウは言われたとおりテーブルに腰をかける。
その後すぐにソングに突っ込まれ、椅子にダルそうに座りなおしたのだが。
相手チームも全員椅子に座った。
テーブルは丸くて大きいため、見事ババ抜きのしやすい形になっていた。

おじさんが華麗にトランプを切りながら放送を続ける。


『ルールは簡〜単〜!ジョ〜カ〜を最〜後まで〜持ってい〜た人の〜負けで〜す。その〜人は退場〜してもら〜います』


ソング、頑張れよ。


『今〜からカ〜ドを配りま〜すので、皆さ〜んちょ〜っと待って〜てくだ〜さいね〜』


言いながらおじさんは全員にトランプを一枚ずつ配る。
12人は自分の前に置かれたカードを暫し見つめる。

やがて、


『配〜り終〜わりまし〜た。で〜は〜作業を〜はじめ〜てください〜』


トランプは全て配られた。
おじさんに言われなくても全員が同じ数字のカードを捨てる作業に取り掛かっていた。
そして、全員の作業は速い。
捨て終わったみたいだ。


『皆さ〜ん〜もう〜よろし〜いですね〜?あ。皆さ〜ん、ジャ〜ンケ〜ンはしな〜くてい〜いですよ』


スタート地点を決めるためにジャンケンをしようとしていた12人をおじさんは止めた。
目を丸くした状態でおじさんに振り向く。
「そしたらどこがスタート地点なんだ?」とサコツが口を尖らすとおじさんは、テレながら、こう言ったのだ。


『そ〜この桜色の髪の乙女〜ちゃん。キ〜ミから始め〜てください』


そして、チョコを指差した。
そのときの顔ときたら、とってもデレデレしていて、何とも見苦しい。

こいつ、チョコに魅了されてる?!

メンバーは全員で痛い視線をおじさんに送った。
しかし、おじさんの視線はチョコ一筋だった。


「ヤッタネ!それじゃ〜始めるよ〜」


そんなおじさんを無視してチョコは早速ゲームをスタートさせた。
カードを引き合う12人。
ジョーカーは誰が持っているか。
緊張しながら、カードを引く。

そして、真っ先に上がりになったのはやはりチョコだった。
後に続いてすぐにブチョウが"ロイヤルストレートフラッシュ"を出して上がった。

そんな二人を見て苦い表情を作るTHE☆鼻水。
対し、にやけるラフメーカー。

こっちにはギャンブルに強い女がいる。

勝ち目は十分にある


………のだが、


「……………っ!!!」


相手チームのカードを引き、ソングは驚きの表情を作った。
その表情を見て、メンバーの表情は一気に引きつった。


ま、まさか…?!



ソングにカードを引かれた相手の顔を見る。
非常に嬉しそうな表情だ。


あぁ、しまった。
あいつがジョーカー持っていたのか。

そのジョーカーをソングが引いてしまった。



もう、ダメだ。あいつ落ちるぞ………。


そして、案の定、
ソングがゲームに負け、失格となった。


「すまん。やはり負けた」


分かっていたことだったけれど。
それにしても…役に立たないヤツだ…。


「あとは任せた」


そして、ソングは無責任なことに舞台の端の椅子に座りにいった。
そこでみんなの頑張りようを見るつもりなのだろう。
本当に、役に立たないヤツだ。

ソングに軽蔑の目を飛ばすメンバーにTHE☆鼻水の一人が三日月に口元を歪めて、こちらへやってきた。


「おやおや、一人仲間が落ちちゃったな。これはつまり俺たちが一歩リードしたってことかな?」


何とも嫌味臭いやつだ。


「ふん。凡がいなくなった方がこっちもやりやすいわよ」


ブチョウが反論した。
それを聞いて、ソングは一人で哀しくショックを受けていた。


+ + +


『さ〜続き〜まし〜て、第2戦〜に〜突入〜です!』


2チームの会話を中断させる形でおじさんが放送を早速始めた。
第2戦は何をするのか、緊張しながら言葉を待つ。

そして、おじさんは、言い切った。


『第2戦〜は…カ〜ドゲ〜ム〜「7並べ」で〜す』


「………っ!!!」


何と、7並べだった。
まさか、ここで7並べがくるとは…。
クモマは念願が叶って嬉しそうな笑みを溢している。


「えかったな。クモマ…」


トーフがそんなクモマに声をかける。
クモマはやはりいい笑みだ。


「うん。よかった〜。7並べができて僕は幸せだよ」


この少年の幸せって一体…。

盛り上がるメンバーに対し、相手チームの反応は


「7並べって何だよ?!」

「あんな子供だましのゲーム…俺1度しかしたことねーよ!」

「やべ〜よ!俺、したことね〜よ!やべ〜!!」


とても混乱していた。

そして、早速第2戦が開始された。
テーブルの上に数字7のカードを全て置き、それの左右に入る数字のカード(6か8)を置き…と、順調に進めていく。
パスは3回までしか出来なく、4回パスをしてしまうと負けになる。
それによって、驚いたことに相手チームから2人も落ちてしまった。
第2戦はクモマの勝ちで終わった。


「ヤッタ〜!7並べだけは得意なんだよね」


微妙ですね、クモマさん。

負けた二人の相手選手は非常に悔しそうだ。
そりゃあ7並べなんかで落ちてしまうなんて屈辱だろう。


「くそっ。何てこった。二人も落ちてしまうなんて…」


勝ち残った相手チームの仲間も悔しそうだった。
他の仲間も愚痴を吐く。


「むかつくぜ。あんな相手如きに…。将来の恥だぜ」


その愚痴は、見事チョコの耳に入ってきていた。


「ちょっと待ってよ!そんないい方しなくてもいいじゃない!!」


相手の言葉に腹を立てたチョコがビシっと指差して叩き込む。
そんなチョコを見て、相手の男。


「お?お前可愛いじゃん〜。ギャンブルにも強いし、めっちゃ俺の好みのタイプじゃん」

「…え?」


突然の告白にチョコをはじめ、この舞台に立っている全員が間抜けな声を出した。
男に続いて、仲間全員がチョコの元へ来る。
そして、鼻の下を伸ばすのであった。


「ホントだ〜。可愛いな〜」

「この桜色の髪がまたグ〜だ」

「ちょっと俺たちと遊ぼうぜ〜?」


次々と誘いの言葉を出す男たちにチョコは身を引いた。
しかし、男に腕をつかまれてしまった。


「待ちな。何しやがるんだ。お前ら」


チョコの腕を掴む男を払いのけてサコツが割り込んできた。
邪魔をされて不機嫌そうな顔をする男。


「ちぇ。つれねえヤツだな」

「なあなあ。俺いいこと思いついた」


男の仲間も割り込んできて、言った。


「俺たちが優勝したら、賞品と一緒にこの女も貰おうぜ」

「は?」

「いいな〜それ!お前いいこと思いつくな〜」

「ちょっと待ってよ!!」

「賞品も手に入れて女も手に入れる…いいアイディアだな」

「だからちょっと!!」


チョコの叫びも無視して、男はまたチョコの腕を引く。
しかしそれはある男の手によって阻止された。


「いい加減にしなよ」


クモマだ。


「チョコが嫌がってるじゃん」

「何だ、このチビ。俺らに喧嘩売ってるのか?」

「生意気なガキだぜ」

「ちょいとあんたら…」


如何にも喧嘩になりそうなその場をトーフが抑えようとする。
だが、それは無駄な行為になってしまった。
すでにクモマはチョコの腕を掴んだ男を軽くぶっ飛ばしていたから。
それによって、舞台の一部は破損された。

ぶっ飛ばされた仲間を見て、言葉を失うTHE☆鼻水。
そんな彼らを睨むクモマ。
指の関節を鳴らして場をより沈めた。


「誰が短足だって?」


言ってない言ってないよ!!
君の頭の中では"チビ"の単語が"短足"に繋がったのかい?

…しかし、言われてみればクモマはこの中で一番足が短い…。
いや、ほら背が低いから短足に見えるだけだよ。…いや、そういう風には見えないなぁ…。
どう見ても短足だ。チョコと比べるからかな〜?不思議だね〜。

クモマは怒っているのだろうか、非常に怖い表情をしている。
ゴーストの村でも見せた、あの鋭い表情になっていた。


『そ〜こ〜!喧嘩〜はやめ〜なさい〜!退場に〜しますよ!退〜場!…ってか〜、舞台〜の一部〜壊しちゃった〜の?!も〜なんて〜ことし〜てくれ〜るんですか〜!もう〜ダメです!退場!!キ〜ミ退場!お〜願いだからも〜う暴れ〜ないで!』


相手チームの男をぶっ飛ばしたクモマにおじさんは急いで退場命令を出した。
やっちゃった〜…とメンバーは苦い表情を作る。
クモマも正気に戻り、同じ表情を作った。


「……ご、ゴメンね。何か頭がカーっとなって…」

「もうクモマ〜。私のために、喧嘩しなくてもよかったのに〜」


本人は"短足"に対して怒っていたのような気がしたが。


「仕方ないことや。向こうのヤツラが悪かったんや。気落とすんじゃないで」

「そうよ。だからあんたの代わりに私が退場するわ」

「待て。お前はこっちに来るな」


ゲームを放棄しようとしているブチョウを、負け組のソングが止める。
あの場所からでもツッコミは忘れない。


そして、無念なことに
ラフメーカーからはソングが第一戦のゲームに負け、クモマが退場命令、
THE☆鼻水からは第2戦に負けた男2人とクモマにぶっ飛ばされた男が戦闘不能となり退場となった。

残り…7名






>>


<<





------------------------------------------------

ババ抜きとか7並べってギャンブル?(笑

------------------------------------------------

inserted by FC2 system