ひそひそひそひそ。話し声が無数に飛び交う。


14.トークの村


ラフメーカーたちは無事凸凹な道から抜け出しこの村へと訪れていた。
村の門付近に車(ウミガメ号)を止め、今は村の奥へ進んでいく。


「ったく、田吾作のやつ。俺がエリザベスとラブラブしているときにちょっかい出してくるんだぜ!嫉妬してやがるんだあいつ」

「あぁ、そうかい」

「何だよ?お前まで嫉妬してるのか?俺モテモテだぜ〜」

「誰がてめえと豚を見て嫉妬するか?!勝手にラブっとけ!」

「お前も冷たいな〜。お前だって彼女とラブラブしていたくせによ〜」

「あれは……いや、好きに言ってくれ。事実なだけに何もいえない」

「何かそれはそれでムカツクぜ」


今、メンバーは4人。
仲良く会話をしているサコツとソング、のんびりと空を眺めているクモマ、そしてそのあとをテクテクと急ぎ足でついていくトーフ、とこの4人。
彼らはなぜか大量の"置物"を抱えていて。

今回は男性陣しか村に入っていない。
果たして女性陣はどうしたのか。



+ +


それは村に入る直前のことだ。
メンバーらは村に着くと酷くぐったりとしていた。
あの凸凹な道を乗り越えてばかりのため車内はぐちゃぐちゃになっていた。
その中でたった一人平気なのが


「さあ、村に入るわよ愚民共」


ブチョウだった。
大きく揺れた車内でメンバーは叫び声をあげたり嘔吐に追われたりしていたのだが
ブチョウだけが平気に足組みをし、腕を組んで偉そうにしていた。
さすがブチョウ、だ。


「ええ…ちょっと待ってよ…気持ち悪い上に動けないよ…」


嘔吐を抑えながらクモマが声を吐く。
元気のないクモマを慰めに入ったのは、サコツだった。


「頑張れよクモマ!せっかく村に来たんだぜ?遊ぼうぜ〜」

「遊ぼうってサコツ〜!ここに遊びにきたわけじゃないのよ〜!」

「でもよ〜買い物はするんだろ?なら遊びだ遊び」

「あと飯も食わないといけねえか」

「あ、それならもう大丈夫やねん。もう腹は限界を超えて麻痺してしもうたから」

「あ、そ」

「それだったらさ、もうしばらくのんびりしていようよ…し、死ぬぅ…」

「心臓ない人間がいう台詞かクモマ?」

「心臓とは関係ないじゃんか…あぁ、気持ち悪い」

「頑張れクモマ〜!」


気分の悪いクモマに全員容赦ない。
既に歩もうとしている。
しかし、それはトーフにとめられた。


「ちょい待てや」

「んだよ?」

「なにトーフちゃん〜?」

「ちょっと気になることがあるんや」


そしてトーフは身を寄せてきた。
メンバーも耳を傾ける。


「最近、車に変なものが増えつつあるんやけど、みんな気にならんかったか?」

「え?変なもの?」

「そや。食べ物とかそういうもんじゃなくてな変なものが」

「なんだよそれ?」

「何やねん、あんたら気にしてなかったんか?まあええわ」


軽くため息をし、トーフは目線を変えると


「それは」


言った。


「置物や」


トーフの目線はブチョウとチョコに向けられていた。


「「おきもの?」」


男性陣も思わず二人に目線を向ける。
サコツが思い出したように、言った。


「そういえば、確かに置物とか無意味にあるぜ?あれ一体何なんだよ?」

「"女神の銅像"もだな。言われてみればその他にもたくさん変な置物があるな」

「…本当だね」

「ちょ、何よ?!」


目の辺りを顰めて自分を見てくる男性陣に、チョコが喚いた。


「私は別に何も関係ないじゃない!私をそんな目で見ないでよ!」

「いや、あんたの仕業やん?あん置物とかあんたが盗んできたんやろ?」


トーフが指差す方には、招き猫だろうか、猫の置物が。


「あれは何やというんや?」

「あ、あれは…ほら、あれ置いていれば来客とか訪れてくるかなーってなんて」

「あれ?そうだったっけ?あれ盗むときに『この置物チョープリティー☆』とか言ってにこやかに盗んでいたような気がしたけど?」

「全くだぜ。俺もその光景見てたぜ」


事実なだけに何も言い返せないチョコ。
よろめくだけだった。


「あとカエルの置物とかもあったよね」

「よくわからねえ置物もあるな」

「ってかあの車内って変な置物ばかりじゃない?」

「そのスペースが勿体無いわ!代わりに食い物置けっちゅうねん!食い物!」

「そうだぜ肉!生肉!生肉!」

「あの置物全て売るか」

「そうだね。このスペース減らしたいし」

「金もぎょうさん入りそうやな。盗んできた置物で金ゲットか。なかなかええな」


勝手に話をすすめていく男性陣にチョコは首を突っ込んだ。


「そ、そんなひどいよ!あの置物かわいいじゃない!愛嬌わくじゃん!売らないでよ〜!」

「でも何に使うんだい?置物とか使い道ないじゃないか」


話をしているうちに気分がよくなったのだろうか。
クモマが厳しくツッコミしてくるようになってきた。
しかし、チョコも強い。反論してくる。


「使い道あるよ!身代わりにしてみたり!」

「え?!身代わりに使うの?!逆にかわいそうだよ!!」

「ほかに使い道あるか?」

「…えっと……ほら、この置物とかさ、人間の顔なのに体は犬なんだよ!」

「だから何なんだ?!」

「可愛いじゃない!!」

「可愛くねーよ!!」

「何で何で?!この愛くるしい目、可愛いじゃん!」

「いや、体が犬という時点でこれは”ブッサイク”といった方が正しいだろ!」


やはり人数負けしまうのか、チョコの反論はすべて無効になる。
そしてとどめはトーフが刺した。


「全て売ろうな」

「…うぅ…みんなのケチ……」

「ケチとかのいう問題か?!てめえがこんなもん盗んでくるのが悪いんだろが」


置物の結末を決めた後、クモマが気づいた。


「あれ?そういえばブチョウは?」

「…消えたか」

「よお消える人やなぁ」


ブチョウの姿がなくなっていたのだ。
あたりを見渡してみるが姿は見えない。
今回もまたブチョウは行方不明になったようだ。


「…まあブチョウのことはいいとして、さっさと村に入ろうぜ?」


サコツはブチョウ探しを早々と諦めた。
ブチョウは普通の人間ではないため別に心配しなくても時期戻ってくるだろう。そう解釈したらしい。
それは他のみんなも同意見だった。


「そうだね。僕も知らないうちに気分治ったし、さっさと村に入ろうか。」

「そうするか」

「ほな、村に入るか〜」


一歩踏み出して、トーフが思い出したようにまたこちらを振り向く。
目線はまたチョコに向けられている。


「そや、あんたは今回は来なくてもええで」


それはとても冷たい言葉であった。
チョコが眉を寄せた。


「え?な、何で?どうして?」

「あんたやブチョウが来るとまた置物が増えるかも知れへん」

「…」

「あんたらはここで留守番しといてくれや」


なんと、留守番命令を出されてしまった。
チョコのショックは大きい。
テンションが高い彼女はキャーキャーうるさくなった。


「ひどいよひどいよ!そんなのひどい!も〜!ひどい〜!」

「仕方ねえぜ?全てはチョコたちが悪いんだからよ」

「今回は頭でも冷やしておけよ」

「ごめんね、チョコ」

「……」


チョコは涙目だ。
相当ショックなのだろう。
一緒に街を歩きたかったのだろう。

涙目のチョコに気づいたクモマは慌てて彼女を慰める。


「ご、ごめんね?置物売ったらすぐに帰ってくるから」

「…だって…置物…人の顔の犬の像…お気に入りだったのに……」

「ほ、本当にごめんね」

「あんたは謝らなくええんやでクモマ。ほなワイらはそろそろ行くさかいあんたはブチョウを探しててくれや」

「…も〜トーフちゃんのケチ〜!」


男性陣は離れていく。大量の置物を抱えて。
チョコはまだ喚いている。


「みんなのバカー!はやく戻ってこいよ!バカー!」

「最高の褒め言葉だぜ!な〜っはっはっは〜」


バカバカ言われて高笑いするサコツにチョコは頬を膨らませる。
やがて、男性陣はチョコの愛しい置物を抱えて、村の奥へと消えていった。


「…も〜!ひどい!」


そして誰にも届かないっとわかっておきながらチョコはそう叫んだのだった。



+ + 




「…チョコには悪いことしちゃったね…」


村の門付近の車に置いていったチョコのことを思い出しクモマがそっと呟いた。
彼は力があるためみんなの倍以上に置物を抱えている。
しかしそれでも平気そうにしているクモマ…さすがだ。


「ええんやええんや。今回で頭をかー冷やしもらわなこっちが大変なんやし」

「そ、そうだね。何か最近車が狭いなあっと思っていたら置物が増えていたんだもんね。驚いたよ」

「こん大量の置物。売ったらええ額になりそうやな…」


そして不適に笑みを浮かべるトーフ。
やはりトーフはあくどい。


「ん〜でもなんだか複雑な気持ちだな〜。だってそれ全部盗んできた置物なのだろう?それを売ってお金をもらうなんて」

「人生盗んで何ぼや」

「…そ、そうだね。僕たちは今こうしていかないと生きていけないもんね」

「そやで。せやから文句言うんやないで」


「おい!街が見えてきたぜ〜!」



視界に広がるは灰色の世界。
コンクリートずくめであったがやはり村の中心にある街というものは華やかだ。
メンバーは勢いで街へ入っていく。
店もそれなりにあり、買い物をしている人たちも多い。
しかしそれらは全て…


ひそひそひそひそ…


ひそひそひそ…


何故か険しい表情をして、耳打ちをしあっていた。








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