人々全てに"笑い"がある村。


1.エミの村

お初やで。ワイの名前は、トーフ。

外見は「猫」言われとるけど猫ちゃうで。ワイはトラや!
どこをどう見てもトラ!
猫と勘違いしてほしくないわ。


それはさておき、今ワイは仲間を探しとるんや。
ワイと同じ力を持っとる仲間、
言わば"笑い"の力を持っとる仲間を探しにひとっ走りしとるとこ。



そや、これは言っとかなあかんわな。
実はな、"笑い"にもいろんな種類があるんやで。

それは、

「ボケ」、「ツッコミ」、「ハイテンション」、「癒し」、「可笑しい」、そして「天然」や。


んでな、ワイはそん中の「天然」っちゅう種類の"笑い"の力をもっとる。

…って、ん?今気づいたんやけど、「天然」って嫌な響きやよな…。
つまりこれって遠まわしに「馬鹿」って言っているようなもんやんか?
………気のせいやろか?…まぁええわ。



そんなワイやけど、他の人にはない、他なる力を持っとるんやで。
それは
「"笑い"があるかを見極める能力」
村全体に"笑い"があるかどうか、とかな、"笑い"のある場所とか"笑い"の量とか知ることが出来るんやで。
この能力、まさに今の世界に必要な力やと思う。


ワイは今、適当に道を歩いているんやけど、今のところ"笑い"の場所、量に関しては至って普通やな。
特に何も感じへんわ。
周りに人がおらんっちゅうんも原因のひとつなんやけど、尤もの理由としてな、"ハナ"は村に植えられてあるもんなんや。
せやから村と村をつなぐ平凡な道じゃ"笑い"を見極める必要がないんや。

せやけど、どんな村ん中歩いても、やっぱり"笑い"は少ないもんや。
"ハナ"にやられているっぽいわ。
ホンマに厄介やわ"ハナ"っちゅうもんは…。
はよ仲間を見つけんとなあ……。









読者の皆さんへ、説明ご苦労、トーフ。

一通り説明を終えたトーフは、現在一本道をのんびりと歩いていた。
辺りは木々に覆われていて
この辺りの空気はとても澄んでいて
上を見上げても、壮大な蒼い空に、ゆっくりと泳いでいる白い雲が見える

見る限り、文字通り平和なところである。



 あ、そや。そういえば…


空から目を離し、トーフは自分の腹に目を向けた。
へこんだ腹がそこにある。
そんな腹を見てトーフはうなだれた。


 そろそろ小腹が空いてきたな。
 どっかに村あらへんかな




ぐううううう…



そう思った傍から、腹の底から、空腹の音が押し出てきた。
その音を聞いてますます空腹に追い込まれていく。


あぁ、あかんあかん!!
もうダメや。
腹減ったわ。
はよ、どっかの村に行って、飯食おう。飯。





腹の空かしたトーフは自分の腹の音を聞くとすぐさま飯のことで頭がいっぱいになった。
その腹に手を当てる。
触っても分かる。
自分の腹が異常にへこんでいることを。
そういえば、もう二日も、食べていない。

また腹の音が鳴る。



あかんわぁ…。
目眩起こりそうやわ…。


片手を腹に当てたまま、トーフはふらつきながら細い道を歩く。
食べることが大好きな彼は今はとにかく、この空っぽの腹を満たしたい。
そのことを考えると、また腹の音が鳴り響いた。

その場に五月蝿く、音が鳴る。



あ、もう、ダメだ…。




そして、その後、
トーフは空腹のあまり、その場に倒れた。






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