今日は食い逃げ絶好調

昨日は初めて捕まってしまったけど
赤髪の自称妖精さんことサコツが助けてくれたから無事逃げることができた。
今度から捕まらないように注意しなければならない。

ま、捕まらない自信はあるんだけど。


トーフはイシシと笑いながら快調な走りで村を駆けていく。
本日の被害者の店員はあっさりと負けを認めてトボトボと歩いて去ってしまった。
今回は余裕で勝利した。




これで4日も食い逃げしてしもうたな…。


さすがに反省の色を浮かべるトーフ。
だけど、所持金10H。
これでは何も買えない。
だから食い逃げをするのだ。
仕方のない行為だ。

と、自分を正当化する。



もう、誰も追いかけてこない。
物陰で自分の周りを確認すると、
安堵の溜息をし、足を止めた。


目線を上にあげる。

建物と建物の隙間道に隠れたため、
そこから見える空は狭い。
雲の流れを追いかける。
しかし、範囲が狭いため、すぐに姿は見えなくなってしまう。


そういえば、
この村だけで、ラフメーカーを3人も見つけたな。

のんびり屋の、クモマ。
テンション高い、チョコ。
ノリがいい、サコツ。

そして、ワイ、トーフ。



今のところ4人…か。
もしかすると、残りのラフメーカーもこの村にいるのかもしれんな。




期待を胸に抱く。


もし、そうであれば、世界を救える。
"笑い"を取り戻せる。



隙間から見える空を眺めながら思う。




はよ、残りのラフメーカー2人を見つけたいわぁ。



考える度、ワクワクしてくる。

こんなに心が躍るのは何年ぶりだろうか。
…さっき飯を食ったとき以来だ。



狭けれども広がる空を見て
微笑みを浮かべる。


今はまだ危険かもしれないから
もう暫くここに隠れていよう。

食い逃げするのも楽ではない。




トーフの目線はずっとずっと上。
雲を追いかけては、それは消え、代わりにまた別な雲を追いかけて…。
ボーっとそれを繰り返す。



あぁ、雲見るのって意外におもろいのやな…。


最初に出会ったクモマのことを思い出す。

彼は雲を見るのが大好きだといっていた。
それを聞いて、こいつ頭おかしいとちゃう?って思ったが
雲とは素晴らしいと、今思える。

気持ちが癒されるのだな…。

表情までもが爽やかになる。



そんな感じで、トーフが雲を眺めていた

そのとき、
視界が一気に暗くなった。

見えるのは、何か大きな物。
それは徐々に大きく見えてくるため、正体をつかめた。

トーフの頭上に現れた、それは
丸く膨らんでおり、
模様は…唐草模様。

唐草模様の風呂敷に包まれた大きな大きな荷物、だった。



「ええええ?!!」


何でこんなところに風呂敷包みが?!!
しかも、えらいでかいでっせ?!



トーフが思わず叫ぶ。
風呂敷包みは構わずトーフ目掛けて

素晴らしい速さで、落ちた。



「ぐは?!!」


トーフは、ずっと目線を上にしていたため、唐草模様の風呂敷包みは見事トーフの顔にぶつかり、
トーフはそのまま頭から地面に叩きつけられた。

そして、トーフは気を失った。




そのトーフの頭上には、
空が広がり、
その空には、白い、真っ白い鳥が飛んでいた。


「あいたこりゃ。手が滑ったわ」



鳥がそう言っているように、聞こえた。









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